初めてのゴルフコンペで…と言いたくなるのが、聞き慣れないハンディの仕組みです。中でも多くの会場で採用されるのが「ダブルペリア」。当日のスコアから一時的なハンディキャップを算出し、実力差や偶然の要素をほどよく慮って順位を決めます。本記事ではダブルペリアの意味と計算式、隠しホールの設計思想、他方式との違い、運営とプレーの実務、そして勝ち筋の作り方までを通しで解説します。初参加の方はもちろん、幹事や経験者にとってもルール説明や現場運営の“台本”として使えるよう、具体と手順を重ねました。最後まで読めば、計算で迷わない・説明で詰まらない・当日の進行で焦らないが実現します。
- 隠しホールは原則12で公平性を高める設計
- 合計に1.5を掛けてパーを引き0.8を乗ずる
- 当日だけ有効の一時的なハンディ方式
- 大叩き対策に上限設定やトリプルカット
- 新新ペリアやキャロウェイとの使い分け
- 幹事は事前告知と集計フローを明確化
- プレーは平均化より“荒れの制御”が鍵
- 説明は一文ルールと例題で短く伝える
ダブルペリアとは公平性を保つ方式とは?まず押さえる
ダブルペリアは、当日のスコアから一時的ハンディを推定してネットスコア(グロス-ハンディ)を求める方式です。核となるのは「隠しホール」という考え方で、18ホール中から事前に非公開で12ホール(アウト6・イン6、各合計パー=24目安)を選びます。プレーヤーは通常通り18ホールを回り、集計側が隠し12ホールの合計を使ってハンディを算出します。これにより偶然の偏りを均しつつ、日々の実力もある程度反映できるのが長所です。方式は日本のコンペ文化に深く浸透しており、経験差の大きいメンバー構成でも雰囲気よく競える点が支持を集めています。
仕組みの核心は「隠し12ホール」
隠しホールは参加者に知らされません。公開しない理由は、狙い撃ちの加減や“保険”を避けるためです。12という数は偶然のブレを抑えるのに十分で、6や9と比べて極端な一発の影響を薄めます。選定はコース側や幹事が行い、アウト・インで難易度やパー構成の偏りが出ないよう配慮します。参加者はいつも通りのプレーに集中でき、終了後の発表で“どこが隠しだったか”を含めて盛り上がるのも定番です。
計算式と一発で分かる例題
基本式は「(隠し12ホール合計×1.5-コースパー)×0.8」。例えば隠し合計70、パー72なら、1.5倍=105、差分33、0.8倍で26.4がハンディです。ネットはグロスからこのハンディを引いた値。実務では小数点の丸め方(四捨五入・切捨て)をローカルルールで決め、発表前に全員へ事前告知しておくと混乱がありません。
用語を短く整理(グロス・ネット・ハンディ)
グロスは18ホールの実打数合計、ネットはグロス-ハンディ。ハンディは当日推定の一時値で、公式ハンデとは性格が異なります。順位付けはネットで行い、同スコア時の並び順(年長者優先・年少者優先・マッチングスコアカード等)も事前に定義するとスムーズです。
上限や“大叩き”への配慮
コンペによっては1ホールのカウント上限(ダブルパーまたはトリプルボギー上限)や、最終ハンディ上限(例:36)を定めます。目的は極端な一打が当落を支配し過ぎないようにすること。上限の有無と値は公平性や雰囲気に直結するため、幹事は目的を明示して合意形成を図りましょう。
当日だけ有効という性格
ダブルペリアのハンディはその日のラウンドにのみ有効です。公式ハンデのように継続的な実力評価に使うものではありません。だからこそ、初参加者でも優勝のチャンスがあり、常連にも手応えが残る“ほどよい運と実力”の配合が生まれます。
ミニ統計:12ホール化で偶然の影響が下がると、中央値付近のネットが増え、極端な上下が減る傾向があります。順位の入れ替わりはなお発生しますが、6ホール型より“納得度”が高くなるケースが多いのが実感値です。
手順ステップ:①隠し12ホールを非公開で設定→②プレーは通常通り→③隠し12合計×1.5→④コースパーを減算→⑤0.8を乗算→⑥丸め→⑦ネット算出→⑧順位・表彰。
ミニ用語集:ネット=調整後のスコア/トリプルカット=1ホール上限をTBに固定/丸め=小数処理の方法/並び順=同ネット時のルール/隠しホール=非公開評価ホール。
ダブルペリアは隠し12と1.5→-PAR→×0.8の三拍子で覚えます。式と用語を共有し、上限や丸めなどの補助ルールを事前に統一すれば、当日の進行は大幅に楽になります。
ペリア・新ペリア・新新ペリア・キャロウェイの違い
ダブルペリアは“新ペリア”と呼ばれることもあります。源流のペリアは隠し6、新新ペリアは隠し9(×2換算)とし、キャロウェイは査定表でハンディを推す方式です。目的はどれも「実力差と偶然のバランス」。採用に迷う幹事は、参加者構成・進行の簡便さ・説明負荷を軸に比較しましょう。
ペリア(6)と新ペリア(12)の分かれ目
6ホール型は偶然性が強く、波乱とサプライズが起きやすい一方、納得感は割れがちです。12ホール型はブレが小さく“実力に寄る”ため、経験者の受け入れが良く、初参加者にもチャンスは残ります。参加者の熱量や表彰趣旨に応じて選びましょう。
新新ペリア(9×2)のねらい所
隠し9ホールに2倍換算をかけ、72を引き0.8を乗じるのが新新ペリア。6と12の中庸で、波乱と納得の折衷案です。ホール選定や集計ロジックは新ペリアに近く、説明コストも低め。伝統の場で“変え過ぎない”更新を狙うときに適しています。
キャロウェイ方式の特徴
キャロウェイはスコア分布と最大叩きの状況から査定表でハンディを推計します。隠しホールを併用する変則型もあり、プレーの作戦余地が変わる点に注意。会場システムにテンプレートがあるか、幹事の手計算負担がどの程度かを見て採否を決めます。
比較ブロック:6(波乱↑・納得↓)/9(中庸)/12(波乱↓・納得↑)。説明難度は6が低く12が中、キャロウェイは会場次第で上下します。
コラム:日本では“場の一体感”が重視され、表彰式の盛り上げや景品文化と相性の良い方式が支持されてきました。新ペリア普及の背景にも、納得とサプライズの両立を求める空気があります。
- 参加者が初心者多め→新ペリア寄り
- 波乱を楽しみたい→ペリア寄り
- 慣行を尊重→新新ペリアで妥協
- 会場がテンプレ持ち→キャロウェイ
- 説明時間を短く→新ペリアが安定
- 人数が多い→集計自動化を優先
- 接待色が強い→納得度を優先
迷ったら新ペリア、伝統を重んじる場は新新ペリア、変化球はキャロウェイ。参加者と会場の条件で選べば失敗しません。
上限設定とローカルルールの設計
ダブルペリアの公平性を引き出すには、“極端”への対処が要です。1ホールの上限(ダブルパー/トリプルボギー)、最終ハンディ上限(例:36)、小数処理の丸め、同ネット時の順位付けなど、事前に決めて周知しましょう。曖昧さが火種になりやすく、幹事の手間は“告知の一枚紙”で激減します。
実務に効くローカルルール例
例:①1ホール上限はTB、②ハンディ上限36、③小数は四捨五入、④同ネットは年長者→女性→ベストカウントバック、⑤ニアピン/ドラコンの注意、⑥途中棄権の扱い。この5〜6点を事前ミーティングで確定し、スタート室と全組に配布します。
“上限”は何を守るのか
上限は「偶然の暴走」を抑えます。大叩きが隠しに当たるとハンディが膨らみ過ぎる懸念があり、逆に“1発で台無し”も避けたい。全体の満足度を高めるために、上限で射程を切り揃える発想が有効です。導入時は例題で違いを体感してもらうと理解が速いでしょう。
トラブルを先回りで潰す
揉めやすいのは「丸め」「同ネット」「途中棄権」。書面化と読み合わせで“言った/言わない”を回避。疑義申し立ての窓口も一文で明記すれば、現場の心理的安全性が保てます。掲示は受付・スタート前・表彰会場の三箇所が効果的です。
| 項目 | 推奨設定 | 目的 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1ホール上限 | トリプルボギー | 極端の抑制 | 初心者多めで有効 |
| ハンディ上限 | 36 | ネットの射程統一 | 会場慣行に合わせる |
| 丸め | 四捨五入 | 説明の簡便 | 切捨てなら事前明記 |
| 同ネット | 年長者優先 | 並びの迅速化 | 別案も可 |
| 途中棄権 | 規定スコア付与 | 順位の整合 | 明文化必須 |
| 特別賞 | NP/DC明記 | 運営の円滑 | 測定方法を統一 |
注意:上限を設ける/設けないは“勝ち筋”を変える重大決定です。意図と対象者を言葉で添えて合意をとりましょう。
- ローカルルールを1枚で可視化
- 受付で手渡し、読み合わせ
- 途中での変更は原則不可
- 疑義窓口は一人に集約
- 表彰前に最終確認
- 次回へ改善点を記録
- 雛形を共有フォルダで管理
- 毎回“更新履歴”を残す
紙一枚でルール・上限・並び順を示し、読み合わせで認識を揃えれば、現場の“ほころび”はほぼ消えます。
幹事のための運営フローと集計の勘所
運営は“前日までの設計”で8割が決まります。隠しホール設定・入力テンプレ・丸めと上限の宣言・順位の並び順・特別賞の基準。これらをテンプレート化して共有すれば、当日の集計は押印作業のように捌けます。システムがある会場では、方式のプリセットと丸めの選択肢を事前に確認しましょう。
事前準備の必須タスク
①隠し12ホールの確定、②ローカルルールの一枚紙、③スコア入力テンプレ(小数処理付き)、④同ネット時の並び順の宣言、⑤NP/DCの測定位置と方法、⑥表彰スライドと台本。前夜に“読み合わせリハーサル”を10分行うだけで、当日の迷いが消えます。
当日の進行と役割分担
受付・スタート前の周知・ホールアウト後の回収・集計・掲示・表彰。役割を二人以上で重複配置し、どちらかが詰まっても止まらない体制を作ります。回収は組単位で締切時刻を明示、遅延時のペナルティや飛び賞の扱いも定義しておきましょう。
集計システムと手計算の切り替え
会場端末やアプリが使える場合は“方式・丸め・上限”をプリセットに。手計算時は隠し合計の自動換算表(×1.5→-PAR→×0.8)を用意し、チェック役を別人に当てます。掲示はネット・グロス・ハンディの三列を並べると参加者の理解が速いです。
- 受付でルール紙を手渡し
- ドラコン/ニアピンの位置確認
- 回収締切の明示とアナウンス
- 二人体制で入力と検算
- 掲示は三列表示で分かりやすく
- 表彰台本は3分以内の構成
- 次回へ改善点をその場で記録
事例:システム障害時、紙テンプレの“二重チェック欄”が功を奏し、開始から15分遅れで無事に発表。以後、台本とテンプレを全会場で標準化しました。
- ベンチマーク:入力エラー率1%未満
- ネット算出時間15分以内/30名
- 問い合わせは掲示後5分で収束
- 表彰開始の遅延を10分以内
- 次回改善の記録を即日共有
準備テンプレと二重配置、三列掲示。この三点で“止まらない運営”が実現します。
プレー面の戦略:荒れを制御してネットを伸ばす
ダブルペリアでは“隠し”が分からない以上、狙い撃ちは無意味。鍵は荒れの制御と平均化の徹底です。OB後の割り切り、レイアップの判断、グリーン周りのミス削減。ネットを伸ばすのは劇的なバーディではなく、致命傷を防ぐ地味な一打です。心理的には“取り返そう”を封印し、目の前の最善を積む姿勢が効きます。
スコア形成のコツ
パーオンを追い過ぎず、ボギー上等で刻む。危険側を外して安全側から攻め、3パットを捨てる。大叩き後の無理な挑戦を抑え、リカバリーは次の安全地帯で行う。18ホールの総量で勝つ意識へ切り替えましょう。
“荒れ”への対処術
OBや池の後は、次のショット選択をシンプルに。ピンに寄せるより、次のアプローチが打ちやすいレーンを優先。グリーン周りは“転がし優先”をデフォルトにし、深いラフや下りは無理をしない。判断の早さがメンタルの暴走を止めます。
パットの重み付け
3パット撲滅はネットを底上げします。下りは返しを残さない距離感、上りはショートを恐れず。ファーストパットの“面”を見て、曲がりの最大値を過小評価しない。ライン読みは「強め/弱め」の選択を先に決めると迷いが減ります。
Q&AミニFAQ:Q. 隠しは読める? A. 読まない前提で平均化を。Q. 大叩きの後? A. リセット→安全第一。Q. 攻め所は? A. 罰打の少ないホールで。
よくある失敗と回避:①OB後に“取り返す”を狙って連鎖悪化→安全帯へ一旦退避/②深ラフからのロブでダフる→転がし優先/③下りでオーバー連発→カップ下2mの面を最優先。
手順ステップ:ティーショットは“危険側を消す”→セカンドは“次が簡単”→グリーン周りは“転がし基準”→パットは“3パット撲滅”。
派手な一打より、罰打の抑制と3パット減がネットを押し上げます。
例題で身につく計算と伝え方のテンプレ
計算は一度“手を動かす”と腹落ちします。ここでは丸めや上限の違いがどう効くかを例題で確認し、幹事が即説明できるテンプレも用意します。伝え方は短い一文を繰り返すのがコツです。数分で読み上げられる台本を用意すれば、当日の質疑は大幅に減ります。
例題:上限なし/ありの差
隠し合計70、パー72。式は(70×1.5-72)×0.8=26.4。上限なしならハンディ26.4、ネット=グロス-26.4。トリプルカットを入れると隠し合計が数打縮み、最終ハンディが数打分小さくなります。この差分が“上限の意味”。
丸めの影響を体感
ハンディ26.4→切捨て26.0/四捨五入26.0/切上げ27.0。並び順に関わる局面があるため、丸めの宣言は“事前に・書面で・短く”が鉄則です。発表後の変更はトラブルの元。事前合意を盾に一貫して運用しましょう。
読み上げテンプレ
「隠しは12、式は1.5→-72→×0.8、小数は四捨五入、上限はTB、同ネットは年長者優先」。この一文を最初と最後に繰り返します。要点を“7秒の塊”に整えると、初参加者でも迷いません。
| ケース | 隠し合計 | 丸め | ハンディ |
|---|---|---|---|
| 基準 | 70 | 四捨五入 | 26.0 |
| 切上げ | 70 | 切上げ | 27.0 |
| TB上限 | 68 | 四捨五入 | 24.0 |
| PAR71 | 70 | 四捨五入 | 27.0 |
| PAR73 | 70 | 四捨五入 | 25.0 |
ミニ統計:丸め・上限・PAR差でネットが±2〜3打動くことは珍しくありません。順位入替の“閾値”を意識して設計・説明しましょう。
注意:発表後の“ルール差し替え”は禁物。疑問は受け付けつつ、事前合意に沿って粛々と進めます。
例題で差分を可視化し、7秒テンプレで伝える。これだけで理解と納得は一気に進みます。
よくある誤解の整理と疑問の先回り
ダブルペリアは一見複雑ですが、誤解の多くは“言葉”に由来します。新ペリア=ダブルペリアであること、当日限りのハンディであること、上限や丸めはローカルで決めること。ここを外さなければ、説明は驚くほど簡単になります。現場の質問を先読みして短文で回答できるようにしましょう。
誤解1:新ペリアとダブルペリアは別物?
呼び名の違いで本質は同じです。隠し12・1.5倍・PAR差・0.8倍という骨格は共通。呼称が混在しても式が一致していれば運用上の差はありません。説明では“隠し12の新ペリア(ダブルペリア)”と並記すると混乱が減ります。
誤解2:狙い撃ちの作戦が効く?
隠しは非公開なので狙い撃ちに意味はありません。むしろ罰打の抑制と3パット減が戦略の中心。練習では“危険側を消す”ルーティンを体に入れておくと、本番で迷いが消えます。
誤解3:上限は不公平?
上限は“偶然の暴走”を抑え納得感を上げる安全装置です。導入の是非は参加者構成次第。初心者が多い会では特に効果的で、経験者にも“競い甲斐”が残ります。導入時は例題で効果を見せれば合意が得やすいでしょう。
注意点:隠し選定の偏り、丸めの後出し、同ネットの曖昧さは火種。書面と読み合わせで未然防止が基本です。
手順ステップ:FAQを10項に整備→受付で配布→読み上げは7秒×5ブロック→掲示の三列表示→問い合わせ窓口を一本化。
コラム:方式の違いは“文化”の違いでもあります。場に根付いた習慣を尊重しつつ、数字で納得を作る姿勢が長く続くコンペを育てます。
誤解は言葉で解けます。呼称を揃え、上限と丸めを短文で定義し、三列掲示で見える化すれば、進行はきれいに回ります。
まとめ
ダブルペリアは“隠し12・1.5→-PAR→×0.8”で当日のハンディを推定し、偶然と実力の釣り合いをとる方式です。ペリア/新新ペリア/キャロウェイとの違いは“偶然性と納得度の配合”。運営はルール紙と三列掲示で迷いを断ち、プレーは罰打抑制と3パット減に集中します。
式と上限・丸め・並び順の三点を一枚紙で共有すれば、初参加でも説明と集計に迷わず、表彰は時間通りに気持ちよく締まります。次回はテンプレートを少しだけ更新し、場に合う“最適解”へ育てていきましょう。


