コンペで幅広く使われるダブルペリア方式は、当日のスコアから一時的なハンディを算出して順位を決める仕組みです。中でも論点になりやすいのが「上限なし」で運用するかどうかという設計です。上限なしは一発の大叩きもスコアとして正面から受け止め、隠しホールの合計値に反映されます。公平性や盛り上がり、納得感の観点でどのような差が出るのか、幹事と参加者の双方に役立つ視点から整理します。
この記事はダブルペリア方式の基本、上限なしの意味、上限ありとの比較、ローカルルールの作り方、運営と集計の手順、そして例題のテンプレまでを一気通貫でまとめました。最後まで読めば、計算に迷わず、説明が短く、当日の進行が止まらない状態をつくれます。
- 上限なしは偶然の波を素直に反映しやすい設計
- 隠しホールは非公開12で合計×1.5→-PAR→×0.8
- 丸めと同ネット処理は事前の明文化が要
- 上限あり/なしは参加者構成と趣旨で選択
- 幹事は集計テンプレと役割分担で詰まりを回避
ダブルペリア方式は上限なしで運営|はじめの一歩
ダブルペリア方式の核は、隠しホール12と換算式です。参加者は通常通り18ホールを回り、集計側は事前に非公開で選んだ12ホールの合計を使ってハンディを推定します。上限なしはホール単位の打数制限を設けない運用で、極端なスコアも換算に含めることで偶然性を素直に反映させる方針です。公平性の感じ方や納得度、盛り上がりに直結するため、採用前に“目的”を言葉で定義しておくと意思決定が速くなります。
隠しホール12の設計思想
隠しホールはアウト6・イン6の計12。難易度やパー配分の偏りを抑え、コース全体像を適度に反映します。非公開にするのは狙い撃ちを防ぎ、普段通りのプレーを促すため。上限なし運用では大叩きの影響が残りやすいため、隠し12の配分で特定の区間に難所が集中しないよう注意すると“偏り感”が軽減します。
計算式と丸めの位置づけ
基本式は「(隠し12ホール合計×1.5-コースパー)×0.8」。小数処理はローカルルール(四捨五入/切捨て/切上げ)を採用前に明文化。上限なしは数値が動きやすい分、丸めの影響が順位に出やすくなります。幹事は“式→丸め→ネット”の順番で説明し、紙一枚で共有しましょう。
上限なしがもたらす影響
上限なしは、隠しに当たった大叩きがハンディを大きく押し上げ、結果としてネットを押し下げます。波乱要素は増えますが、“実力と偶然の混合比率”を素直に受け入れる運用として納得する参加者も多いのが実感です。表彰のサプライズを重視する場では盛り上がりに効きます。
ケースで把握する上限なし
例:隠し合計が72→一発の10が含まれて80に膨らむと、(80×1.5-72)×0.8=(120-72)×0.8=38.4。上限ありで10をトリプルに抑えると合計が4〜6打ほど縮み、最終ハンディも数打分小さくなります。差が順位の入れ替わりを生みやすいポイントです。
用語の短辞典
グロス=実打数の合計/ネット=グロス-ハンディ/丸め=小数処理/同ネット=並び順の決め方/上限なし=ホール単位の打数制限を置かない運用。
隠し12と式→丸め→ネットの順で説明すれば、上限なしの骨格は短時間で共有できます。目的(盛り上がり/納得度)を最初に言語化するのが成功の鍵です。
注意:上限なしは“偶然の暴走”もそのまま反映するため、説明と合意が不十分だと不公平感に繋がりやすい点に留意しましょう。
手順ステップ:①隠し12を非公開で確定→②通常プレー→③隠し合計×1.5→④PAR減算→⑤0.8乗算→⑥丸め→⑦ネット→⑧順位。
上限ありとの比較:公平性と盛り上がりの配分
ダブルペリア方式を上限なしで運用するか、上限あり(例:トリプルボギー上限/ダブルパー上限)で運用するかは、イベントの趣旨で決めるのが理にかないます。ここでは公平性、納得度、盛り上がりの観点から違いを立体的に把握します。
公平性の見え方
上限ありは極端な値の影響を刈り込み、分布の“裾”を整える発想です。上限なしは分布の全体像を素直に反映し、偶然の波も含めて競う姿勢。初心者多めの会では上限ありが“納得しやすい”一方、腕に自信のある層には上限なしの方が“実感に近い”と受け止められることもあります。
盛り上がりとサプライズ
サプライズを重視する場では上限なしが波乱を増やし、順位の変動幅が広がります。逆に、部署間の交流や接待寄りの会では上限ありの方が“荒れ過ぎない”ため、表彰進行が読みやすく、司会進行も計画しやすくなります。
比較早見表
| 観点 | 上限なし | 上限あり |
|---|---|---|
| 公平性の感触 | 実力+偶然を素直に反映 | 極端値を抑え納得を作る |
| 盛り上がり | 波乱が起きやすい | 安定しやすい |
| 説明コスト | やや高い(例題必須) | 低〜中 |
| 初心者比率が高い会 | 賛否が割れやすい | 受容されやすい |
| 表彰の読みやすさ | 読みにくい | 読みやすい |
Q&AミニFAQ:Q. 上限なしは不利? A. 戦略が変わるだけで、実力と偶然の扱い方の問題です。Q. 初心者が多い会は? A. 上限ありの方が納得を得やすい傾向です。Q. 表彰は? A. 上限ありの方が進行は読みやすくなります。
波乱と納得はトレードオフになりがちです。会の目的と参加者構成を先に決め、方式はそれに合わせて選べば失敗しません。
ローカルルールの作り方:上限なし採用時の設計
上限なしのダブルペリア方式は、補助ルールの設計で“納得度”が大きく変わります。丸め、小数点の扱い、同ネット時の並び順、途中棄権、ニアピン/ドラコンの規定など、先に紙一枚で揃えて配布します。
ひな形ルールの例
| 項目 | 推奨設定 | 意図 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 丸め | 四捨五入 | 説明の簡略化 | 切捨て/切上げは事前合意 |
| 同ネット | 年長者優先 | 迅速な決着 | 別案:ベターカウントバック |
| 途中棄権 | 規定スコア付与 | 順位の整合 | 事前告知を徹底 |
| 掲示 | ネット/グロス/HDの三列 | 可視化と納得 | 問い合わせの時短 |
| 発表 | テンプレ台本 | 進行の安定 | 読み上げ3分以内 |
チェックリスト
- 方式・丸め・同ネットの宣言は紙一枚
- 受付で配布し読み合わせを実施
- 掲示は三列、問い合わせ窓口を一本化
- 途中棄権の扱いは一文で明記
- 表彰台本は冒頭と締めの型を統一
- 改善点を当日メモし次回に反映
- データは共有フォルダで管理
背景コラム
日本のコンペ文化では“場の一体感”が重視されます。上限なしを採る場合も、数字だけでなく言葉の合意を丁寧に積むと、参加者の納得が得やすく、長く続くイベントに育ちます。歴史的にもルールの書面化はトラブル回避の最短ルートでした。
紙一枚+読み合わせ+三列掲示の三点セットで、上限なしでも“荒れ過ぎない運営”を実現できます。
幹事の運営と集計:止まらない進行の作り方
ダブルペリア方式の運営は、前日までの設計で8割が決まります。上限なしの採用を問わず、テンプレと役割分担が整っていれば、集計は“押印作業”のように進みます。
前日までの準備
- 隠し12ホールの確定(非公開)
- 丸め・同ネット・途中棄権の宣言
- 入力テンプレ(×1.5→-PAR→×0.8)
- 掲示の三列フォーマットを準備
- 表彰台本とスライドの雛形
- 役割分担(入力・検算・掲示)
- 前夜10分の読み合わせリハ
当日の進行と検算
受付→スタート前周知→ホールアウト→回収→入力→検算→掲示→表彰。入力と検算は必ず別人で二重化。回収は組単位の締切時刻を明示し、遅延時の扱いを事前に定義しておきます。掲示はネット/グロス/ハンディの三列で直感的に理解できる形に整えます。
ミニ統計と現場の目安
入力エラー率1%未満、30名のネット算出15分以内、掲示後の問い合わせは5分で収束がベンチマーク。これを超える場合はテンプレの改善か、役割の再配置を検討しましょう。
事例:会場端末が停止したが、紙テンプレと二重チェック欄で15分遅れにとどめた。以後、台本とテンプレを全会場で標準化して安定運用に成功。
テンプレ+二重化+三列掲示で、上限なしでも進行は止まりません。ボトルネックは前日までに潰しておきましょう。
プレー戦略:上限なしで“荒れ”を制御する
上限なしのダブルペリア方式では、隠しホールに大叩きが当たるとハンディが大きく動きます。狙い撃ちはできないため、戦略は“荒れの制御”と“平均の底上げ”に集約されます。
スコア形成の要点
- 危険側を消すティーショットを徹底
- セカンドは“次が簡単”な位置へ刻む
- グリーン周りは転がし優先でミスを削減
- 3パット撲滅を最優先のKPIに置く
- OB・池後は無理をせずリズム回復
- 罰打の少ないホールで攻めどころを作る
- “取り返す”を封印し淡々と積み上げる
よくある失敗と回避
①OB後にピン狙いで連鎖悪化→安全帯へ退避。②深いラフからのロブで大ダフリ→転がし基準。③下りの速いラインでオーバー連発→返しを残さない強さに調整。判断の速さがメンタルの暴走を止めます。
ベンチマーク早見
“3パット1回以内/9H”“OBはラウンドで2回以下”“深ラフからのロブは原則禁止”など、定量の基準を事前に宣言しておくと、当日の選択がブレません。
派手なバーディより、罰打の抑制と3パット減がネットを押し上げます。平均化の徹底が上限なしの“勝ち筋”です。
例題で学ぶ:上限なしの計算と読み上げテンプレ
実数で手を動かすと腹落ちします。上限なしでは“大きな波”がそのまま隠し合計に乗りやすく、丸めの影響も順位に出やすいと覚えましょう。幹事は7秒×5ブロックの読み上げテンプレを用意すると、質疑は一気に減ります。
例題:上限なしの差を数値で見る
- 前提:PAR72、隠し合計70→(70×1.5-72)×0.8=26.4
- 大叩き10が隠しに当たり合計80→38.4
- 上限ありで同ホールをTB扱い→合計が数打縮む
- 丸め四捨五入→26.0/38.0、切上げ→27.0/39.0
- 並び順や表彰の読みやすさに差が出る
読み上げテンプレ
「隠しは12、式は1.5→-PAR→×0.8、小数は四捨五入、方式は上限なし、同ネットは年長者優先」。冒頭と締めでこの一文を繰り返すだけで、全員の理解が揃います。
注意点の再確認
注意:発表後のルール差し替えは禁物。疑問は受け付けつつ、事前合意に沿って粛々と運用します。最終掲示はネット/グロス/ハンディの三列で可視化し、問い合わせ窓口は一本化しましょう。
例題で差分を体感し、テンプレで説明を固定すれば、上限なしでも“静かな納得”が生まれます。
まとめ
ダブルペリア方式を上限なしで運用すると、偶然の波を素直に反映しつつ、隠し12と換算式で当日のハンディを推定できます。公平性と盛り上がりの配分は会の趣旨で決め、ローカルルールの紙一枚、読み合わせ、三列掲示で納得を担保しましょう。プレーは罰打の抑制と3パット減が要。幹事はテンプレと役割の二重化で“止まらない進行”を実現します。次回はデータと声を持ち帰り、少しずつ場に合う最適解へ更新してください。


