ラウンド中に“ワンペナ”という言葉が出た瞬間、打ち直しなのか救済なのか、同伴者間で解釈が割れることがあります。
近年の改訂では、ペナルティーエリアの考え方やドロップの方法、捜索時間、ローカルルールの提示が簡潔になりましたが、要点をつかんでいないと現場で迷って進行を止めがちです。本稿はワンペナの新ルールを“その場で判断できる順番”に並べ直し、色別の違い、OB・紛失球の扱い、特設ティーの位置づけ、ドロップ手順とスコア計算までを一気通貫でまとめます。用語の言い換えも添えて、ビギナーから中級者まで同じ土台で意思決定できるように設計しました。
- 赤と黄の違いは“横に逃げられるか後方線上か”。
- ペナルティーエリア内はそのまま打てるが、救済を取ると1打罰。
- OBと紛失球は原則打ち直し。ローカル採用の特設ティーに注意。
- ドロップは膝の高さから垂直に。範囲確認を声掛けで可視化。
- スコア計算は“期待値”で判断。角度と安全を優先。
- グリーン上の整備やバンカー内の救済は近年緩和が進む。
- コース掲示のローカルルールが最優先。到着時に写真で控える。
ワンペナの新ルールを正しく選ぶ|ベストプラクティス
導入:ワンペナは1打罰の俗称ですが、“救済を選んだ結果として付く罰”という順序を押さえると判断が速くなります。近年の改訂では用語や手順が整理され、現場での再現性が高まりました。まずは全体像を俯瞰し、迷いを断ち切る土台を作りましょう。
ペナルティーエリアという考え方の一本化
従来の“ウォーターハザード”に相当する区域は、赤杭と黄杭で示される“ペナルティーエリア”として整理されました。ボールが区域内にあっても、打てるなら無罰でプレーできます。
救済を選ぶときに1打が加算されるだけで、区域そのものが罰ではありません。赤は横方向救済が柔軟、黄は後方線上中心という骨格を先に覚えます。
ドロップの方法が簡潔になった背景
救済は膝の高さから垂直に落とし、指定範囲内に止まれば完了です。肩から落とす旧来の癖が残っていると、やり直しや指摘で進行が乱れます。
範囲外に転がった場合は再ドロップ、規定回数を超えたらプレースという流れも定型化されました。手順を声に出すと、同伴者との確認が素早くなります。
捜索時間の短縮と暫定球の重要性
ボールの捜索時間は原則3分です。超えたら紛失球となり、原則は前打地点からの打ち直しになります。
時間短縮の時代背景もあり、暫定球の運用がより重要になりました。不確実なら必ず宣言の上で暫定球を打ち、進行を守ります。
ローカルルールの明確化と実務
特設ティー(前進位置からの打ち直し)やノープレイゾーンの指定、保護区域の扱いなど、コースごとのローカルが増えています。掲示は簡潔でも内容は実務に直結するため、
スタート前に写真で控えて共有しましょう。ローカルは競技委員会の定めであり、原則ルールに優先する運用面がある点も押さえます。
“そのまま打てる”と“打てない”の境界線
ペナルティーエリア内は原則としてプレー可能ですが、ノープレイゾーンや修理地指定、動物保護区などはプレー禁止や無罰救済の対象です。
“色”と“区域指定”の二段階で確認し、禁止なら迷わず救済へ。判断の遅れはスコアよりも安全と進行を損ないます。
Q. 赤杭に入ったら自動で1打罰ですか? A. いいえ。打てるなら無罰。救済を選ぶときに1打が加わります。
Q. 黄杭は必ず後方線上ですか? A. 基本は後方線上。横方向の自由度は赤より狭い前提で判断します。
Q. ローカルと原則が矛盾したら? A. 競技では掲示のローカルを優先運用。事前確認が肝心です。
Step1 杭の色と区域指定を確認(赤/黄と禁止の有無)
Step2 安全・足場・入射角の可否を評価(打てる/救済)
Step3 選択を宣言し、同伴者と基準点を共有
Step4 ドロップまたはプレーを実行、スコア計算を声出し確認
現場では“池ポチャ”や“前進4打”のような旧来表現が残ります。
新ルールでは区域名や手順が整い、曖昧さを減らす方向です。言い換えをチームで統一すると、指摘のトーンも穏やかになります。
ワンペナは罰の名前ではなく“救済を選ぶときに付く1打”です。色と区域、手順の三点を固定化し、声出しで可視化できれば、公正と進行を同時に守れます。
赤と黄で変わる選択肢:ペナルティーエリア色別の新しい考え方

導入:色は“逃げ道の方向”を示すサインです。赤は横方向救済が柔軟、黄は後方線上で角度を作る。そのまま打つか、救済か、各色の期待値を正しく比べるための視点をそろえます。
赤杭の基本:横に出す自由度とそのまま打つ期待値
赤では、ホールに近付かない2クラブレングス範囲の救済が中心で、横へ回避して前進の角度を作れます。浅い水や低い草なら、無罰でそのまま転がし出す選択も現実的です。
ただしライ改善は禁止。草を踏み倒す、枝を折るなどは避け、足場の安全を最優先にします。
黄杭の基本:後方線上で“角度を買う”という発想
黄はボールと旗を結ぶ後方線上で基準点を取り、必要なだけ下がってプレー再開します。正面の池や土手が残るなら、無理打ちは連続ミスの誘因です。
1打罰を払っても、得意距離に合わせて“次の設計”を整える方が合計打数を抑えられます。
境界の読み方とグレーゾーンの扱い
杭や線が欠損している、落ち葉で境界が見えない等のグレーは珍しくありません。原則は“合理的な推定”と同伴者の合意。
迷ったら写真と声出しで記録を残し、マーカーに委ねます。色の判断を誤ると救済そのものが無効化されることがあるため、最初の確認に時間を使って構いません。
メリット:赤は横逃げで前進角度を作りやすい/無罰継続も選べる
デメリット:黄は後方線上で距離が伸びやすい/無理打ちのダメージが大きい
・色を声に出して確認(赤/黄)
・安全と入射角の確保を点検
・横に出せるか後方で角度を作るかを即決
赤で前進を欲張る→横へ出して角度を整える。
黄で池越えに固執→後方線上で得意距離に合わせる。
境界確認を省略→最初に全員で色と線を共有する。
色は“逃げ道の向き”です。赤は横、黄は後方の骨格を共有し、角度と安全を買う1打を肯定的に選べば、トラブルは自然に減ります。
OBと紛失球の扱いと特設ティー:新ルール時代の“戻し方”を整える
導入:OB・紛失球は原則として前打地点へ戻るのが基本ですが、ローカルで前進位置を設ける運用が広がっています。新ルールの枠組みの中で、特設ティーや暫定球をどう使い、進行と公正を両立するかを具体化します。
OB/紛失球:原則は打ち直しと暫定球の活用
ボールが境界外に出た、または3分以内に見つからない場合は紛失球で、原則は前の場所からの打ち直しです。
時間短縮の観点から、少しでも不確実なら暫定球を宣言して打つのが実務的。戻り走りのロスを抑え、組全体の流れを守れます。
特設ティー(前進位置)の位置づけ
前進位置はローカルで採用されることがあり、掲示やスコアカードに表示されます。適用条件や打数の数え方はコースにより異なり、
“一律前進〇打”と短絡せず、必ず掲示のとおりに処理します。競技では採用しないケースも多く、用途の切り替えが重要です。
ケースで理解する“戻し方”の優先順位
林でボールが見つからない可能性があるなら、ティーイングエリアの段階で暫定球。境界が近いホールでは同伴者の目で着弾確認の分担。
戻しの判断を先回りで設計しておけば、ミスが出ても早く淡々と処理できます。
| 状況 | 優先行動 | ポイント | 進行効果 |
|---|---|---|---|
| OBの可能性 | 暫定球宣言→即打 | 捜索3分を意識 | 戻りロスを最小化 |
| 紛失の恐れ | 目印確保→複数で目視 | 入射角と着弾を共有 | 捜索効率が向上 |
| 前進位置採用 | 掲示通りの打数で再開 | 競技か一般かを区別 | 停滞を回避 |
| 境界不明瞭 | 合理推定→写真記録 | マーカー判断を尊重 | 後の揉め事を予防 |
・不確実ならティーから暫定球が標準
・前進位置は“採用の有無”を最初に確認
・戻り判断は声出しと写真で可視化
「境界の白杭が欠損していたため、着弾地点の写真と同伴者の証言を残し、マーカー判断に委ねて円滑に進行できました。」
OB・紛失球は“戻す技術”です。暫定球と前進位置の切り替えを早め、掲示に忠実であれば、スコアだけでなく雰囲気も守れます。
救済手順の最新基準:基準点と範囲、正しいドロップを型にする

導入:救済は“基準点→許容範囲→ドロップ→確認”の順番で行うとミスが激減します。誰が見ても同じ手順にするために、声出しと指差しを取り入れ、最新の手順を体で覚えましょう。
基準点と許容範囲の決め方
無罰救済でもワンペナ救済でも、まず基準点(ニアレストポイントや後方線上の点)を明確化します。次に“ホールに近付かない”などの条件で許容範囲を確定。
範囲の測定は使用クラブでよく、境界を同伴者と共有してからドロップに進みます。
正しいドロップ:膝の高さから垂直に
ボールは膝の高さから地面に垂直に落とします。手から離す高さや落下姿勢が曖昧だとやり直しが発生します。
落ちた先が範囲外なら再ドロップ、二度とも外れたらプレース。流れを固定しておけば、緊張場面でも手が勝手に動きます。
確認と再現性:声掛けと痕跡の整え
止まった位置が範囲内かを指差し確認し、同伴者の合意を得ます。足跡や芝の乱れは簡単に整え、次打へ移行。
一連の動作を短い言葉で統一すれば、競技でも一般でもトラブルを大幅に減らせます。
肩からのドロップはやり直しの対象です。癖を直すには、声に出して“膝から垂直”と宣言してから実施しましょう。
基準点:救済の出発点。最も近い位置や後方線上の点。
許容範囲:基準点から測った救済可能なエリア。
後方線上:球と旗を結ぶ延長線上で後退する方式。
プレース:規定により置いて再開すること。
ニアレストポイント:ホールに近付かず干渉を避けられる最近点。
Step1 基準点を指差しで宣言し同意を得る
Step2 許容範囲を測って境界を共有
Step3 膝の高さから垂直にドロップ
Step4 止まった位置を確認して次打へ移行
救済は“見える化”が命です。基準点→範囲→ドロップ→確認の型を固定し、声出しと指差しで再現性を高めましょう。
グリーンとバンカー周りの緩和策:新ルールの恩恵を安全に使う
導入:近年はプレーの円滑化と安全を重視した緩和が進み、グリーン整備やバンカー救済が分かりやすくなりました。適切に使えばスコアだけでなく進行にも効きます。
グリーン上の整備と球の扱い
スパイク跡や小さな損傷の修復は許容され、ラインの公平性が高まりました。マークとリプレースを丁寧に行い、風などで動いた場合の扱いも事前に共有します。
同伴者への合図と確認を欠かさず、過度な時間をかけないのがマナーです。
バンカー内の救済とアンプレアブルの判断
深いアゴや埋まったライでは、アンプレアブルを選ぶ勇気がスコアを守ります。
バンカー外への救済は罰が重くなる場合がありますが、失敗の連鎖を断つ効果が高い場面も。クラブの接地や砂の均しはマナーを守りつつ、次組への配慮を忘れません。
パッティングの進行最適化
レディゴルフの考え方が浸透し、準備ができた人から打つ流れが一般化しました。
旗竿の扱いはプレーラインを優先し、短い言葉で意思を通わせます。プレー前に“外す/立てる”の基準を決めておくと、進行は滑らかです。
- グリーン上はマーク→整備→リプレースを簡潔に。
- 砂の均しは退場時に。入る前の素振りは最小限。
- 旗竿はライン優先で。短い合図で意思疎通。
- 待ち時間に読影と距離計測を済ませる。
- バンカーで無理をしない。撤退ラインを決める。
- 修理地や保護区域は無罰救済をためらわない。
- ミス後も歩く速度を落とさない。
- 旗竿の扱い事前合意で平均待ち30〜60秒短縮
- レディゴルフ徹底で各ホール1〜2分改善
- アンプレ採用で“出ない連鎖”を断ちダボ回避
Q. スパイク跡はどこまで直せますか? A. ライン上の小さな損傷は修復可。過度な整形は避けます。
Q. バンカー外への救済はいつ有効? A. 失敗連鎖を断つ狙いで有効な場面があります。
Q. 旗竿は抜くべき? A. ラインと距離で安全側を選び、合意を優先します。
緩和は“速く公正に”のためにあります。整備は簡潔に、救済は勇気を持って使い、組の流れを守りましょう。
実戦判断のフレーム:期待値・安全・進行を一つの物差しにする
導入:技術よりも“決め方”でスコアは安定します。期待値=安全×得点×速度という物差しを持ち、ワンペナの新ルールを最短で適用できる思考手順を共有します。
角度と距離の価値を再定義する
横へ出して角度を作る1打は、単なる“出し”ではなく次打の価値を最大化する投資です。
無理打ちで距離だけを稼ぐより、フェアウェイ側へ10ヤード出す方が平均スコアは下がります。設計思考を定着させましょう。
安全と進行を数値で語る
滑落・クラブのすっぽ抜け・他組への待ち発生など、安全と速度の損失は“隠れ打数”です。
1打罰の可視コストと、事故・停滞の不可視コストを足し算で比べると、救済の価値がクリアになります。
振り返りのルーティンで学習を加速
ホールアウト直後に30秒だけ、選択の良否を言語化します。
“赤で横に出す判断は正解”や“黄は後方線上が早かった”など、次に活きる一言を残し、翌ホールで即修正します。
- 色と区域を声出し確認(赤/黄+禁止の有無)
- 安全と入射角をチェックして“撤退ライン”を決める
- そのまま無罰か、救済1打で角度を作るかを即決
- 基準点→範囲→ドロップ→確認を型で実行
- 結果より“手順の再現性”を評価して次へ
- 良い判断は言語化、悪い判断は基準へ反映
- 歩く速度と準備の早さで組を支える
無理打ち:成功時は華やかだが失敗幅が大きい/進行への負荷が高い
救済選択:1打罰の可視コスト/角度と安全を確保し平均を押し上げる
「救済で行きます」「後方線上に下がります」——言葉にすると迷いが減り、手順も速くなります。
宣言は他人のためだけでなく、自分の集中のためにも有効です。
期待値の物差しを持てば、迷いは“基準”に置き換わります。安全×得点×速度の積で最適を選び続けましょう。
まとめ
ワンペナの新ルールは、罰を受ける場面を増やすためではなく、速く公正にプレーを進めるための整理です。ペナルティーエリア内は打てれば無罰、救済を選べば1打罰。赤は横、黄は後方という骨格を共通言語にし、OBや紛失球では暫定球と前進位置の切り替えを早めます。救済は基準点→範囲→ドロップ→確認の型で可視化し、グリーンとバンカーの緩和は簡潔に使いこなす。
最後に、判断は“安全・得点・速度”の物差しで評価します。声出しと写真で透明性を高め、掲示ローカルに忠実であれば、トラブルは最小限に。新ルールを味方に付け、静かにスコアを安定させていきましょう。


